毎年のお正月の風物詩となっている、豊洲市場(旧築地市場)の「マグロの初セリ」。 2019年には史上最高額の3億3360万円、昨年(2025年)も2億円を超える値がつきました。
「たった1匹の魚に数億円なんて、正気なの?」 「完全な赤字じゃないの?」
ニュースを見てそう思う方も多いはずです。しかし、実は企業側からすると、「数億円払ってもお釣りがくるほど安い買い物」だということをご存知でしょうか?
今回は、すしざんまい(喜代村)や、近年話題の銀座おのでら(オノデラグループ)が、なぜこれほどの巨額を投じるのか、そのビジネス的な裏側と「本当の理由」を解説します
3億円払っても安い?驚異の「広告宣伝効果」
最大の理由は、ずばり「圧倒的なコストパフォーマンス(費用対効果)」です。
もし企業がテレビCMを全国ネットで流そうとすれば、数千万〜億単位の費用がかかります。しかも、CMは視聴者に「飛ばされる」可能性があります。
しかし、初セリで一番マグロを落札するとどうなるでしょうか?
- 全テレビ局のニュースが「速報」として取り上げる
- 朝のワイドショーから夜のニュースまで一日中名前が連呼される
- 新聞、ネットニュース、SNSで拡散される
- 世界中のメディア(CNNやBBCなど)でも報道される
広告代理店の試算によると、これらの露出を広告費に換算した場合、その価値は数十億円〜50億円以上とも言われています。 つまり、落札額が1億や3億であっても、宣伝費として見れば「バーゲンセール」のように安いのです。
「すしざんまい」vs「銀座おのでら」のブランド戦略
初セリの落札競争は、単なる買い物ではなく、企業のブランドイメージを決定づける戦いです。
元祖・初セリ王「すしざんまい(喜代村)」
長年、初セリの話題を独占してきたのが「すしざんまい」の木村社長です。「マグロ大王」としてのキャラクターと、両手を広げるポーズはお馴染みですよね。 「初セリ=すしざんまい」というイメージを定着させたことで、大衆寿司チェーンとしての知名度と親しみやすさを不動のものにしました。
新・高額落札者「銀座おのでら(オノデラグループ)」
近年、その牙城を崩したのが、高級寿司店を展開する「銀座おのでら」です。 彼らが巨額を投じる理由は、「世界的なブランド力の誇示」です。 世界一高いマグロを落札できる資金力がある、最高の仲卸(やま幸)と組んで最高品質の魚を仕入れているという事実は、高級店としての格を上げ、海外展開への大きな布石となります
日本特有の「ご祝儀相場」と「商売繁盛」
ビジネスライクな話だけでなく、日本ならではの「心」の部分も無視できません。
初セリは、その年一年の市場のスタートを祝うお祭りです。 相場を度外視した高値を付けることは「ご祝儀(おひねり)」の意味合いがあり、漁師さんや市場関係者への感謝、そして「今年も市場を盛り上げよう」というメッセージが込められています。
また、一番マグロは「縁起物」。 食べたお客さんにも福が来る、そして落札した店もその年は商売繁盛すると信じられています。この「粋(いき)」にお金を払う文化があるからこそ、初セリは盛り上がるのです。
結局、一番マグロは誰が食べるの?
数億円で落札されたマグロですが、実はお店では「通常価格」や、多少の特別価格程度で振る舞われることがほとんどです。
普通に原価計算をすれば、一貫あたり数万円〜数十万円取らないと元は取れません。しかし、そこであえて通常価格で提供することで、お店には長蛇の列ができ、さらなる話題を呼びます。
「お客様に一番良いものを、お正月から食べて喜んでもらいたい」
この還元精神こそが、最終的にファンを増やし、長い目で見て利益に繋がっているのです。
まとめ:ニュースの見方が変わる!
初セリの高額落札には、以下の3つの「本当の理由」がありました。
- 数十億円規模の宣伝効果が得られる(コスパ最強)
- 「最高品質を扱う店」という強烈なブランディング
- 市場へのご祝儀と、お客様への縁起物還元
単なる金額の高さだけでなく、その裏にある企業の熱い戦略にも注目してみると、ニュースがより面白くなるはずです。
おまけ
2008年からこれまでの推移
| 年 | 落札価格 | 産地・重量 | 落札者(店名) | 備考 |
| 2008 | 607万円 | 大間 276kg | 板前寿司 (香港) | 【競争の始まり】 黒船来航と話題に |
| 2009 | 963万円 | 大間 128kg | すしざんまい・板前寿司 | |
| 2010 | 1,628万円 | 大間 232kg | すしざんまい・板前寿司 | 共同落札の時期 |
| 2011 | 3,249万円 | 北海道 戸井 342kg | すしざんまい・板前寿司 | ※この年のみ 北海道産が最高値 |
| 2012 | 5,649万円 | 大間 269kg | すしざんまい(喜代村) | |
| 2013 | 1億5,540万円 | 大間 222kg | すしざんまい(喜代村) | 【初の億超え】 |
| 2014 | 736万円 | 大間 230kg | すしざんまい(喜代村) | 前年の反動で 価格急落 |
| 2015 | 451万円 | 大間 180kg | すしざんまい(喜代村) | |
| 2016 | 1,400万円 | 大間 200kg | すしざんまい(喜代村) | |
| 2017 | 7,420万円 | 大間 212kg | すしざんまい(喜代村) | |
| 2018 | 3,645万円 | 大間 405kg | LEOC(銀座おのでら) | ※築地市場 最後の初セリ |
| 2019 | 3億3,360万円 | 大間 278kg | すしざんまい(喜代村) | 【史上最高額】 豊洲移転初年 |
| 2020 | 1億9,320万円 | 大間 276kg | すしざんまい(喜代村) | 令和最初の初セリ |
| 2021 | 2,084万円 | 大間 208kg | やま幸・銀座おのでら | 豊洲市場として初のコロナ下セリ |
| 2022 | 1,688万円 | 大間 211kg | やま幸・ 銀座おのでら | コロナ禍の影響で価格低迷 |
| 2023 | 3,604万円 | 大間 212kg | やま幸・ 銀座おのでら | |
| 2024 | 1億1,424万円 | 大間 238kg | やま幸・ 銀座おのでら | 4年連続で同タッグが落札 |
| 2025 | 2億700万円 | 大間 276kg | やま幸・ 銀座おのでら | 史上2番目の高値 |
さて、2026年は本日行われます。いくらで誰が競り落とすのか?
楽しみですね~
今年分が出たのでアップしときますね~
2026年の豊洲市場の初セリ(1月5日)で、一番マグロについた価格は5億1030万円!
これは2019年の3億3360万円を大幅に上回る、史上最高額となります。
詳細は以下の通り↓
- 落札額: 5億1030万円
- 産地: 青森県 大間産(クロマグロ)
- 重さ: 243kg(1kgあたり210万円)
- 落札者: 「すしざんまい」運営の株式会社喜代村
※同社による一番マグロの競り落としは6年ぶり
高額マグロを食べたことのある方、感想お待ちしております!
see you soon.


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