メリークリスマス! 街はイルミネーションで輝き、ケーキやチキンを楽しむ12月25日。 日本では「恋人たちのイベント」や「子供たちがプレゼントをもらう日」として定着していますが、ふとこんな疑問を持ったことはありませんか?
「そもそも、なんで12月25日なの?」
多くの人が「イエス・キリストの誕生日でしょ?」と答えると思います。 しかし、実は12月25日はキリストの誕生日ではないという説が濃厚なことをご存知でしょうか。
今日は、無宗教派が多い日本人だからこそ面白がれる、クリスマスの意外なルーツと「元ネタ」についてお話しします。
聖書に「12月25日」という記述はない?
いきなり結論から言ってしまうと、キリスト教の聖書(新約聖書)には、イエスがいつ生まれたかという日付の記述はどこにもありません。
それどころか、聖書にはイエスが生まれた時の様子として、「羊飼いたちが夜、野宿しながら羊の番をしていた」と書かれています。 イエスが生まれたとされる地域(現在のパレスチナ周辺)の12月は、寒さが厳しく雨季にあたります。そんな時期に羊を夜通し外に出しておくことは考えにくいのです。
このことから、多くの歴史家や神学者は「誕生日は春か秋だったのではないか?」と推測しています。では、なぜ世界中で12月25日に祝うようになったのでしょうか?
クリスマスの正体は「冬至のお祭り」だった
誕生日でもない日が選ばれた理由。それは、キリスト教が広まる以前の土着信仰(冬至祭)に関係しています。
古代ヨーロッパやローマ帝国では、一年で最も昼が短くなる冬至(12月21日〜22日頃)を境に、再び太陽の力が強まっていくことを祝うお祭りが行われていました。
- サトゥルナリア祭(ローマ): 農耕神を祝うどんちゃん騒ぎのお祭り
- ユール(北欧・ゲルマン): 冬至を祝う祭り(「ユール」は今でもクリスマスの別名として使われます)
キリスト教を布教する際、今まで人々が大切にしていたこれらのお祭りの時期に、「世の光」であるキリストの誕生を祝う日を重ね合わせることで、異教徒の人々にも受け入れられやすくした……というのが有力な説です。
つまり、クリスマスは「キリスト教」×「古代の冬至祭り」のハイブリッドとして生まれたイベントなんですね。
クリスマスツリーもサンタの服も、後付け?
クリスマスのアイテムにも、実はキリスト教以外のルーツがたくさん混ざっています。
もみの木(ツリー)はゲルマン魂
クリスマスツリーに使われる常緑樹(もみの木など)。これは元々、ドイツ周辺のゲルマン民族が信仰していた真冬でも枯れない永遠の命の象徴でした。 本来キリスト教とは無関係でしたが、冬至祭の習慣がそのまま取り入れられ、今では欠かせないシンボルになりました。
サンタの赤はコカ・コーラの影響?
サンタクロースのモデルは、4世紀頃の東ローマ帝国に実在した司教聖ニコラウスです。彼は貧しい家に金貨を投げ入れたという伝説があり、これが「靴下にプレゼント」の元ネタです。
しかし、当時の彼が赤い服を着ていたわけではありません。 現在私たちがイメージする恰幅が良く、白い髭に真っ赤な服というサンタ像は、1930年代にコカ・コーラ社がキャンペーン広告で描いたイラストが世界中に広まり、定着したと言われています(※諸説あり、それ以前から赤い服の挿絵はありましたが、イメージを決定づけたのは間違いなさそうです)。
日本のクリスマスも「正解」かもしれない
こうして歴史を紐解くと、クリスマスはもともと一つの純粋な宗教行事というよりは、その土地の古いお祭りや、時代の変化(商業的な要素)を取り込みながら変化してきたイベントだということが分かります。
そう考えると、日本人が編み出した:
- 宗教に関係なく楽しむ
- チキンとケーキを食べる
- 恋人と過ごす
という独自スタイルのクリスマスも、「その土地に合わせて変化する」というクリスマスの長い歴史から見れば、ある意味正しい進化と言えるのかもしれません。
皆さんは今年のクリスマス、どんなふうに過ごしますか? 「元ネタ」に思いを馳せつつ、美味しいケーキを食べるのもまた一興だと思います。

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